リンパ液と血液とはどう違うの?
血液の液体成分である血漿(けっしょう)が
毛細血管から組織へ漏れ出て、
リンパ管に吸収されてリンパ液となります。
ここで、リンパ液と血液にはどのような違いがあるのでしょうか?
血液は、私たちの体の中をグルグルと循環しています。
心臓から送り出され、動脈を通って全身の毛細血管に達し、
組織・臓器へ酸素や栄養を供給したあと、
二酸化炭素を持って静脈から心臓に戻ってくるのです。
さらに、二酸化炭素を持った血液は肺に送り込まれ、
二酸化炭素と酸素とを交換(ガス交換)して心臓に戻り、
再び全身の動脈へと送り出されるわけです。
体のあちこちを巡る「体循環」は、
1周20秒から40秒くらいです。
そして、肺に行って帰ってくる「肺循環」は
一周が数秒程度です。
心臓というポンプで送り出すため、
動脈を流れる血液には
圧力(血圧・水圧のようなもの)がかかっています。
そのため、通常逆流することはありません。
これに対して、心臓へと戻っていく静脈には、
圧力がかからないため、逆流しないように
「弁」が設けられています。
血液は、
- 液体成分の血漿(けっしょう)
- 白血球
- 赤血球
- 血小板
などで構成されています。
わずかに粘り気があって、
ケガなどで血管の外に出ると凝固します。
リンパ液は、毛細リンパ管から流れがスタートし、
全身から集められて静脈に注ぎ込んでいます。
つまり、「一方通行」です。
よく「リンパの循環」がいいとか悪いとかいわれますが、
循環とは血液のようにグルグルと回ることです。
一方通行という意味では、
「リンパ輸送」と呼ぶ方が
より適切かもしれません。
もちろん血管の支流という位置づけで考えれば、
リンパ液も循環していることになります。
もう少し詳しく言うと
まず、毛細血管のところで、血漿と呼ばれる
血液の水分が漏れ出てきます。
漏れた水分は組織の隙間に留まり、
「組織液」と呼ばれる状態になります。
この組織液が溜まり続けないように、
毛細リンパ管が吸収し、
リンパ液として運搬してくれるわけです。
毛細リンパ管に吸収された時点で、
組織液は,、リンパ液と名前を変えます。
リンパ液は、たくさんの毛細リンパ管が
合流した「集合リンパ管」へと流れ込みます。
さらに、
- 頸部(けいぶ)
- 鎖骨部(さこつぶ)
- 胸部(気管支縦隔)
- 腰部(ようぶ)
などの各「リンパ本幹」に合流し、
「胸管」を経て静脈に戻っていく
という経路をたどります。
血液に比べると流れは非常に遅く、
12〜24時間くらいかけて静脈に到達します。
リンパ液は血液よりも「サラサラ」で凝固しないので、
流れが遅くても詰まったりはしません。
<リンパ液の色>
血液は赤い色をしていますが、
これは赤血球の色(血色素)で、
リンパ液となる血漿そのものはほとんど透明です。
そのため、リンパ液も基本的には透明ですので
「白い血」とも呼ばれるわけです。
ただし、わずかに赤血球も混じるため、
実際には白い黄色がかっています。
もう一つ、小腸の内壁の絨毛部分で、
食物の脂肪を吸収するリンパ管もあります。
こちらのリンパ管は「乳び管」
(正式には中心リンパ管)ともいわれています。
脂肪を含むため、乳び管で吸収されるリンパ液は、
透明ではな、く乳白色をしているのが特徴です。